退職代行は退職できず悩んでいる人にとって、とても頼りになるサービスです。
我が国では法律で労働者の権利が手厚く保護されていますので、退職代行を利用しても通常は問題なく退職できるのですが、時折、会社とトラブルになったというケースも耳にします。
そこで「退職代行とトラブル」について見ておくことにしましょう。
退職代行はトラブルになりやすい?
退職代行に依頼すると会社が怒ってトラブルになるのではないか、と思っている人も多いと思いますが、実態はその逆で、退職代行はトラブルになりにくい退職方法といえます。
トラブルになりにくい理由はいくつかありますが、最も大きい理由は「第三者が間に入る為、短時間で話し合いが決着する」ということだと思います。
昨今、企業はどこも人手不足ですので、上司に退職の話を切り出すと、かなりの確率で引き留めにあいます。一方、退職する従業員は本当は会社の内情がイヤで退職したい場合でもストレートに会社へ退職理由を伝えられる方は少数派で、ほとんどの方はオブラートに包んで遠回しに退職理由を会社へ伝えます。
その結果、なぜ退職するのか理解ができない会社側と真意を伝えきれない従業員側で長期間に渡って断続的にやり取りが続くのですが、次第にお互いが感情的になって半ば“ケンカ別れ”に近い形での退職になってしまうケースもよくあります。
その点、退職代行を使う場合は、引き止めも一切なく、第三者との間で「辞める意思を伝えた後は退職手続きに関する話を事務的に進める」ことになりますので、通常10分程度で退職条件はまとまります。
さらに退職条件が確定した後も残った有給を取得するなどして出社しないまま退職日を迎えることになりますので、退職代行を使ったことでのトラブルは起こりにくいといえます。
退職代行でトラブルになる場合
一方で、退職代行を使ってトラブルになったという話も後を絶ちません。
トラブルになる事例
退職代行でトラブルになる事例としては主に次の3つのケースが考えられます。
- 会社が退職代行とのやり取りを拒否した為、依頼者本人が会社と直接やりとりすることになった
- 退職はできたが有給休暇が取得できない、給料が支払われない
- 退職自体に問題があり、会社から損害賠償請求された
まず、退職代行を検討している方からよく質問のある「会社から損害賠償請求される」のはかなりレアなケースですが、従業員側に違法行為がある、従業員側の行為で会社が損害を被った(理由がないにも関わらず重要な業務を放置した、悪意を持って“リベンジ退職”をした等)といった場合は、損害賠償請求を受ける可能性もありますので注意が必要です。
リベンジ退職とは?
会社や上司への強い不満や恨みを抱えている人が、退職する際に会社へ損害を与える行動をとることを指します。
次に、一点目と二点目のケースは比較的よく耳にするトラブルですが、これらのトラブルは退職代行の種類によって引き起こされます。
退職代行の種類
退職代行の運営者は「株式会社などの民間企業・弁護士・労働組合」の3つに分かれていますが、法律によって対応できる業務内容に違いがあります。
- 民間企業が運営する退職代行
- 弁護士が運営する退職代行
- 労働組合が運営する退職代行
3つの内、弁護士と労働組合は「依頼者の代わり」に「会社へ交渉する」ことが法律で認められていますが、民間企業の退職代行は「依頼者の代わりとなる」ことも「会社と交渉する」ことも法律で認められていません。
その為、民間企業の退職代行は「依頼者の要望を伝書鳩のように会社へ伝える(この事を「通知」と言います)」ことしかできません。
退職代行といっても、退職交渉もできる「退職交渉サービス」と通知しかできない「退職通知サービス」の2種類に分かれていることをまず知っておきましょう。
退職代行サービスは2種類ある
| 運営者 | 提供サービス |
|---|---|
| 民間企業 | 退職通知サービス (通知のみ) |
| 弁護士 | 退職交渉サービス (交渉可能) |
| 労働組合 | 退職交渉サービス (交渉可能) |
退職通知サービス(民間企業の退職代行)
現在100社を超える退職代行会社が存在しますが、全体の約60%を占め一番数が多いのが「退職通知サービス」を提供する「民間企業の退職代行」です。
【参考】民間企業の退職代行
退職代行モームリ、退職代行EXIT、退職代行やめたらええねん、男の退職代行、わたしNEXT、退職代行OITOMA、退職代行ネルサポ、退職代行 即ヤメ、退職代行SARABA など
株式会社などの民間企業が運営する退職代行は法的根拠を持たない為、依頼者の要望を伝書鳩のように会社へ伝える「退職通知」により退職代行を行うことになります。
「依頼者の代わりとなれない」「会社と交渉を行うことができない」という大きな弱点を抱えている為、会社側が退職代行を通じたやり取りを拒否した場合は退職に失敗することになります。
民間企業の退職代行の退職失敗率は5〜10%と言われていますが、退職確定に失敗した場合は、依頼者本人が書面や電話で会社とやり取りをして退職を確定することになります。
退職交渉サービス(弁護士・労働組合の退職代行)
弁護士の退職代行は全体の約35%と民間企業の次に多く、労働組合の退職代行は最も数が少なく全体の5%となっていますが、弁護士や労働組合の退職代行は、依頼者の代わりとなって会社との交渉をすることが法律で認められているため「退職交渉サービス」を提供できます。
労働組合や弁護士の退職代行については、会社側がやり取りを拒否することができない為、法律に則って退職を確実に完了させることが可能です。
退職代行でトラブルにならない為に
退職代行は法律に則って退職を確定させるためトラブルになるケースは少ないですが、退職通知サービスしか提供できない民間企業運営の退職代行の場合は「退職代行が退職に失敗し、依頼者が直接会社とやりとりする羽目になった」「退職はできたが、有給休暇が取得できない、給料が支払われない」「会社から損害賠償請求を受けた」といったトラブルになる場合があります。
退職代行にまつわるトラブルのほとんどは「退職通知サービスの利用=民間企業の退職代行の利用」によるものですので、退職代行でのトラブルを避けたいのであれば、民間企業の退職代行ではなく、弁護士または労働組合が運営している退職代行へ依頼するようにしましょう。
民間企業の退職代行の見分け方
通知しかできない「民間企業の退職代行」の見分け方は2つあります。
- ホームページの「運営者情報」または「特定商取引法に基づく表記」のページを確認する
- 料金振込先の銀行口座の名義を確認する
ホームページの「運営者情報」や「特定商取引法に基づく表記」に弁護士名(弁護士法人名)や労働組合名が記載されていない場合、料金振込先の銀行口座の名義が弁護士名(弁護士法人名)や労働組合名になっていない場合は「民間企業の退職代行」となりますので、必ず確認した上で依頼するようにしましょう。

