退職後のお金と手続き〜いつ・いくら入る?

退職後のお金はいつ入る? 給付金

退職後に最も不安なのは退職後の生活。「退職後のお金がいつ入るか」が気になっている人も多いのではないでしょうか?

健康保険の切り替え・国民年金の手続き・失業保険の申請・住民税の支払い。やるべきことは多いのに「いつ・何を・どの順番で」を退職時にまとめて教えてくれる会社はほとんどありません。

そこで、11年間実務に携わってきた元総務部長が、退職後のお金と手続きの流れを時系列のスケジュールで整理してお伝えします。

この記事を読めば「退職日から最初のお金が入るまでの全体像」がわかりますので、ぜひ参考にしてください。

【本記事は労働組合 私のユニオンの監修です】

退職後のお金の全体像

退職後の生活不安は、お金の出入りの情報不足から生まれることがほとんどです。まず「入るお金・出るお金」をセットで把握しておきましょう。

退職後に「入るお金」

お金の種類 対象者
失業保険
  • 雇用保険加入者で求職中の人
再就職手当
  • 失業保険の給付日数を残っている状態で再就職した人
傷病手当金
  • 退職後も在職時と同じ傷病で働けない状態にあり、一定の条件を満たす人

失業保険と再就職手当については後程詳しく説明します。

退職後に「出ていくお金」

退職後は収入が減る一方で、在職中は会社が負担していた費用が自己負担になります。生活設計の出発点として「入るお金」だけでなく「出ていくお金」も把握しておく必要があります。

費目 退職前 退職後
健康保険料 会社と折半(負担は約半額) 全額自己負担(国保または任意継続)
厚生年金→国民年金 会社と折半(負担は約半額) 国民年金を全額自己負担(月約1.8万円)
住民税 毎月給与天引き まとめて納付書で請求(退職月によっては一括徴収)
住民税の一括徴収とは?

1月〜5月に退職する場合、5月分までの住民税全額が最後の給与から一括で天引きされます。退職のタイミングによっては最終給与の手取り額が大きく減ることがあるため注意が必要です。

退職後に最も多い「想定外の出費」は住民税です。

在職中は給与から月ごとに引かれているため意識しにくいのですが、退職後に数十万円単位の納付書が届いて驚く方を多く見てきました。

住民税は所得税とは異なり、前年の年収に対して税額が決定します。退職して収入がなくても住民税は徴収されますので、あらかじめ給与明細で年間どのくらい必要になるのか確認しておくことをおすすめします。

退職後の手続きスケジュール(時系列)

次に、退職日を起点に、何をいつまでにやればいいかを時系列で整理しておきましょう。

退職後の手続きには、期限付きで見落とすと取り返しがつかないものもあるため、チェックリスト代わりに使ってください。

日数 手続き内容
退職日 会社から書類を受け取る
退職日または最終出社日に、以下の書類を受け取ったか確認してください。
・手続き関係の案内(あれば)
・雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は入社時に交付されている場合もあります。紛失していてもハローワークで簡単に再発行できます。なお、一般的な退職書類である「離職票・健康保険資格喪失証明書・源泉徴収票・退職証明書」は退職後に作成して郵送されるため、通常退職日には入手できません。
翌日〜 健康保険の切り替えを検討【最優先・期限あり】
退職翌日から無保険状態になります。健康保険の切り替え先は3種類ありますので、保険料を比較してから決めるようにしましょう。健康保険の比較方法はこの後解説します。
〜14日 国民健康保険・国民年金の切り替え手続き
健康保険資格喪失証明書が退職後10日〜2週間で会社から届きます(届かない場合は会社へ催促)。届いたら退職の翌日から14日以内に「健康保険資格喪失証明書・本人確認書類・マイナンバーカード・印鑑」を持参して市区町村役場の窓口で手続きをします(会社から健康保険資格喪失証明書が届いていない場合は期日が過ぎても手続きできます)。収入が減る場合は国民年金の「保険料免除申請」を同時に行うようにしましょう。最近は、マイナポータルからオンライン手続きができる自治体も増えています。
2週間前後 ハローワークで失業保険の受給手続き
離職票は通常、退職後2週間前後で会社から届きます(届かない場合は会社へ催促)。届いたら「離職票-1,2・写真(3cm×2cm)2枚・本人確認書類・マイナンバーカード・通帳」を持参してハローワークで手続きをします。
〜20日 健康保険の任意継続を希望する場合は申請
在職中の健康保険を継続(任意継続)する場合は、退職の翌日から20日以内に申請を行う必要があります。
退職翌月 住民税の支払い方法が変わる
在職中は給与天引きだった住民税が、退職後は自分で支払う「普通徴収」に切り替わります。市区町村から納付書が届いたら納付を済ませてください(退職月によっては最終給与から5月分までの住民税全額を一括で天引きされます)。
申請から2〜3ヶ月後 失業保険の初回入金
自己都合退職は申請から約3ヶ月後、会社都合退職は約2ヶ月後が目安です。
編集長より

退職者から最も多い問い合わせは「離職票がまだ届かない」です。

会社は従業員が退職した日の翌々日から起算して10日以内に、ハローワークへ喪失手続きをする義務がありますが、退職者が増える月末・月初はハローワークでの手続きが遅れがち。退職後2週間経っても届かない場合は、会社の総務や人事に連絡して確認するようにしましょう。

なお、会社からの離職票の到着が遅れている場合は、先にハローワークで「失業保険の仮手続き」をしておくと受給までの期間が遅れないですみます。

健康保険の切り替え〜3つの選択肢と選び方

退職後の健康保険は、以下の3つから選んで切り替えることになります。保険料を比較した上で選ぶようにしましょう。

選択肢 保険料 こんな人に向く
国民健康保険 前年収入に基づいて計算。家族1人ひとりに保険料が掛かる 前年収入が低く、次の就職まで時間がかかる人
任意継続 在職中の自己負担額の約2倍 前年収入が高く、世帯の家族人数が多い人
家族の扶養に入る 0円 自身の見込み年収が130万円未満で配偶者・親など扶養してくれる家族がいる人

保険料を比較する具体的な方法

保険料は以下の方法で確認することができます。退職後2週間までを目安に確認しておきましょう。

  1. 国民健康保険の保険料:
    国民健康保険の保険料は市町村ごとに異なりますが、お住まいの市区町村の窓口またはウェブサイトで試算できます。「〇〇市 国民健康保険 計算」で検索すると試算ツールが見つかります
  2. 任意継続の保険料:
    給与明細に記載されている「健康保険料」の約2倍が目安です。正確な金額が知りたい場合は、退職前に加入していた健康保険組合に電話で確認すると教えてもらえます
  3. 扶養の条件確認:
    配偶者や親が加入している健康保険組合に「扶養に入れるか」を確認します。失業保険の受給中は扶養に入れない保険組合もあるため注意が必要です

国民健康保険の「軽減制度」について

非自発的失業者に該当する場合、国民健康保険料が大幅に軽減される制度があります。前年の給与所得を100分の30として計算するため、保険料が大幅に下がります。

軽減の対象となる退職理由

会社都合退職・解雇・倒産・雇い止め(期間満了による退職で本人が希望しない場合)など。ハローワークが発行する「雇用保険受給資格者証」に記載された離職理由コードで判定します。軽減制度を利用する場合は、市区町村窓口で申請してください

どの健康保険を選ぶべきかは、前年の収入・家族人数・退職理由などによって変わります。

在職中の年収が500万円を超えていた方は、任意継続のほうが安くなるケースが多くなるので、「とりあえず国民健康保険」と決めてしまう前に、任意継続の保険料も必ず確認しましょう。

国民年金の手続きと保険料免除申請

会社を退職すると、厚生年金から国民年金(第1号被保険者)に切り替わります。

会社から健康保険資格喪失証明書が届けば、社会保険の切り替え手続きができますが、手続きは「市区町村役場の国民年金担当窓口」または「マイナポータルからの電子申請」となります。

市区町村役場の窓口で切り替える場合は「健康保険資格喪失証明書・身分証明書・マイナンバーカード・印鑑」を持参して切り替え手続きを行なってください。

保険料免除・猶予申請について

退職後に収入が減る場合、以下のような国民年金保険料の免除または猶予の申請が可能です。

  • 全額免除
  • 一部免除(4分の1〜4分の3)
  • 納付猶予(50歳未満)
退職特例について

国民年金には、退職にともない保険料の納付が経済的に難しくなった人に対し、納付を免除する制度があります。離職票など退職を証明する書類を提出することで、前年の所得が高い場合でも所得を0円として審査し、保険料の免除・納付猶予を受けやすくなります。

国民年金の免除申請をしていない退職者も多いのですが、払えない状況であれば、未納のままにするのではなく、必ず免除申請をしてください。督促もされず、年金受給の額も有利です。

 

「入るお金」と「出るお金」を詳しく解説

退職後の手続きを見てきましたが、次は退職後のお金について詳しく見ておきましょう。

失業保険〜いつ・いくらもらえる?

退職後にもらえるお金の代表格で、再就職までの生活を支えてくれるのが失業保険です。

失業保険は、退職理由・雇用保険の加入期間・申請のタイミングによって、受け取れる金額と時期が大きく変わりますが、受給条件とあわせて見ておきましょう。

受給できる3つの条件

失業保険を受給するには以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険に加入していたこと
  • 離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あること(会社都合・特定受給資格者は1年間に6ヶ月以上)
  • 働く意思と能力があるが仕事に就けない状態であること(病気・ケガで働けない状態は原則対象外)

失業保険は「いつ」もらえる?

退職後いつお金が入るかは、退職理由によって異なってきます。自分がどのケースに当たるかを確認しておきましょう。

退職理由 給付制限 初回入金の目安
会社都合退職
特定受給資格者
なし(7日間の待機期間のみ) 申請日から30日〜37日後
自己都合退職 7日の待期+1ヶ月の給付制限 申請日から約1ヶ月半
特定理由離職者
ハラスメント・病気等による退職
審査によって給付制限なし(7日間の待機期間のみ)になる場合あり ハローワークで個別確認
編集長より

離職票の「退職理由コード」が給付制限の有無を決めます。ハラスメントや体調不良で退職する場合は、自己都合でも「特定理由離職者」として給付制限なしになる可能性がありますので、ハローワークの窓口で相談することをおすすめします。

失業保険は「いくら」もらえる?

基本手当日額 = 離職前6ヶ月の賃金日額 × 給付率(約50〜80%)

給付率は低賃金の人を手厚く支援する設計のため、賃金が低いほど高くなり、月給30万円の場合、基本手当日額は約5,000〜6,000円・月換算で約15〜18万円が目安です。

給付日数

続いて給付期間(給付日数)も見ておきましょう。

被保険者期間 自己都合退職 会社都合退職
特定受給資格者
1年未満 受給なし 90日間
1〜5年未満 90日 90〜120日
5〜10年未満 90日 120〜180日
5〜10年未満 90日 120〜180日
10〜20年未満 120日 180〜240日
20年以上 150日 240日

ハローワークでの手続きの流れ

  • 1休職申込(離職票到着後すぐ)
    「離職票-1・離職票-2・雇用保険被保険者証・写真(3cm×2.4cm)・身分証明書・マイナンバーカード・通帳」などを持参してハローワークで手続きを行います。
  • 2待機期間(申請から7日間)
    申請日から7日間は失業保険が支給されない「待期期間」になります。
  • 3給付制限(1ヶ月間:自己都合退職のみ)
    自己都合退職の場合は待期期間終了後、1ヶ月間は給付制限となります。
  • 4認定日(4週ごと)
    待機期間・給付制限が終了したら、4週間ごとに認定日があります。「失業認定申告書・雇用保険受給資格者証」を持参してハローワークで求職活動実績を報告し、認定を受けます。
  • 5入金(認定日後1週間)
    認定日の約1週間後に初回の失業保険が指定口座へ振込されます。

再就職手当〜早期退職で受給

失業保険の給付日数を3分の1以上残した状態で再就職した場合、「再就職手当」として残日数に応じた金額が一括で支給されます。

  • 給付日数を3分の2以上残して就職:残日数 × 基本手当日額 × 70%
  • 給付日数を3分の1以上残して就職:残日数 × 基本手当日額 × 60%

例)給付日数90日・基本手当日額5,000円・70日残して就職した場合:70日 × 5,000円 × 70% = 245,000円(一括受取)

失業保険は使い切りたいと考えている人がほとんどですが、再就職ができそうであれば転職先で給与をもらいつつ、再就職手当をもらうという選択肢の方がお得になります。

退職後の「住民税と所得税」

社会保険以外にも退職後に注意しておきたいのが「税金」です。退職後の住民税と所得税についても押さえておきましょう。

1. 住民税について

住民税は「前年の収入に対して翌年6月〜翌々年5月に課税」される後払い方式です。

在職中は毎月の給与から天引きされていますが、退職後は市区町村から納付書が届き、自分で支払う「普通徴収」に切り替わります。ただ、退職月によっては今年度分(5月分)までの住民税を最終給与や退職金から一括して天引きされる場合もあります。

退職月 住民税の扱い
1月〜5月退職 退職月以降の残額(最大5ヶ月分)を最後の給与から一括徴収される
6月〜12月退職 退職月の給与から当月分を天引き。翌年5月までの残額は、翌月以降で市区町村から届く納付書で支払う

特に6月〜12月退職の場合、想定外の支出になりがちなのが住民税です。あらかじめ給与明細で「どのくらいの金額なのか」を確認し、翌年5月までに必要となる現金を手元に確保しておきましょう。

住民税が支払えない場合は?

収入が減って住民税が払えない場合は、市区町村の窓口に相談することで「分割払い」や「徴収猶予」の交渉ができます。未払いのまま放置すると延滞金が発生するため、払えない場合は必ず相談してください。

2. 所得税について

在職中は会社で年末調整を行い、所得税が精算されていましたが、退職後は自分で確定申告が必要になる場合があります。

確定申告が必要な場合、不要な場合について見ておきましょう。

状況 確定申告の要否
退職後その年に再就職した 前職の源泉徴収票を転職先に提出し、転職先で年末調整
退職後その年に就職しなかった 翌年2月〜3月に確定申告が必要。退職時に源泉徴収税額が多すぎた場合、還付されることがある

年の途中で退職した場合、年末調整がされないため源泉徴収税額が多くなっていることがあります。

その場合は翌年に確定申告を行うことで差額が還付され、社会保険料控除・医療費控除なども合わせて申告ができます。国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に従って作成できるのでチャレンジしてみてください。

なお、失業保険を受給した場合ですが、「失業保険は非課税」ですので失業保険で受給した金額について税務署へ申告する必要はありません。

まとめ:退職直後にやること優先順位

今回は、退職後のお金と手続きの流れを時系列のスケジュールで整理してみました。

退職後にやるべきことを簡単にまとめると、

    期限順「退職直後にすること」
  1. 退職翌日〜20日以内:健康保険の切り替え【最優先】
    「国民健康保険・任意継続・家族の扶養」の3択から比較してから選ぶ。
  2. 退職翌日〜20日以内:国民年金の切り替えと免除申請
    収入がない状態なら免除申請をする。「退職特例」で前年収入に関わらず審査してもらえる。
  3. 離職票が届いたらすぐ:失業保険の申請
    2週間経っても離職票が届かない場合は、会社へ督促し、ハローワークで「仮手続き」をしておく。
  4. 翌年2〜3月:確定申告
    収めすぎた所得税が還付される可能性が高いので、年内に就職しなかった場合は確定申告をする

のようになります。

退職後のお金の不安は「何がいつ入るか・出るかを知らない」ことから来ることがほとんどです。「入るお金」と「出るお金」を把握し、必要な手続きを一つひとつ確実に進めるようにしましょう。

記事の著者情報

まいサポ編集長

総務部長として11年間にわたり退職手続き・休職対応・就業規則の設計などを実務で担当。制度を作る側・処理する側にいた経験をもとに、働く人にとって本当に役立つ情報を執筆しています

この記事の監修について
監修
合同労働組合 私のユニオン
労働問題の専門家集団として記事内容の正確性・適法性を確認しています
給付金退職・退職代行