退職代行は退職できず悩んでいる人にとって頼りになるサービスですが、確実に退職できるか気になっている人も多いでしょう。
そこで「退職代行で退職できない時はあるのか」について詳しく解説してみたいと思います。
退職代行で退職できない時はある
我が国では法律で労働者の権利が手厚く保護されていますので、退職代行を利用しても通常は問題なく退職できるのですが、依頼先の代行業者によっては退職できないといったケースも起こります。
退職できないのはどんな時?
退職できないのはどんな時かを考える際に重要なポイントとなるのが「退職代行の運営者と種類」です。
退職代行の運営者は3つ
退職代行は国内に100社以上存在していますが、退職代行の運営者は「株式会社などの民間企業・弁護士・労働組合」の3つに分けられます。
- 民間企業が運営する退職代行(全体の約60%)
- 弁護士が運営する退職代行(全体の約35%)
- 労働組合が運営する退職代行(全体の約5%)
3つの運営者の内、弁護士と労働組合は「依頼者の代わり」に「会社へ交渉する」ことが法律で認められていますが、民間企業の退職代行は法律上「依頼者の代わりとなる」ことも「会社と交渉する」ことも認められていません。
その為、民間企業が運営する退職代行は「依頼者の要望を伝書鳩のように会社へ伝える(この事を「通知」と言います)」ことしかできません。
つまり、一口に「退職代行」といっても、下表のように退職交渉もできる「退職交渉サービス」と通知しかできない「退職通知サービス」の2種類に分かれているわけです。
| 運営者 | 提供サービス |
|---|---|
| 民間企業 | 退職通知サービス (通知のみ) |
| 弁護士 | 退職交渉サービス (交渉可能) |
| 労働組合 | 退職交渉サービス (交渉可能) |
退職代行サービスの種類は2つ
退職代行サービスの2つの種類「退職通知サービス・退職交渉サービス」について、その特徴をもう少し見ておきましょう。
退職通知サービス(民間企業の退職代行)
現在100社を超える退職代行会社が存在しますが、全体の約60%を占め一番数が多いのが「退職通知サービス」を提供する「民間企業の退職代行」です。
【参考】民間企業の退職代行
退職代行モームリ、退職代行EXIT、退職代行やめたらええねん、男の退職代行、わたしNEXT、退職代行OITOMA、退職代行ネルサポ、退職代行 即ヤメ、退職代行SARABA など
株式会社などの民間企業が運営する退職代行は法的根拠を持たない為、依頼者の要望を伝書鳩のように会社へ伝える「退職通知」により退職代行を行うことになります。
「依頼者の代わりとなれない」「会社と交渉を行うことができない」という大きな弱点を抱えている為、会社側が退職代行を通じたやり取りを拒否した場合は退職に失敗することになります。
退職交渉サービス(弁護士・労働組合の退職代行)
弁護士の退職代行は全体の約35%と民間企業の次に多く、労働組合の退職代行は最も数が少なく全体の5%となっていますが、弁護士や労働組合の退職代行は、依頼者の代わりとなって会社との交渉をすることが法律で認められているため「退職交渉サービス」を提供できます。
労働組合や弁護士の退職代行については、会社側がやり取りを拒否することができない為、法律に則って退職を確実に完了させることが可能です。
退職できないのはどんな時?
退職代行では、弁護士や労働組合は依頼者の代わりとなって会社側と交渉ができます。それぞれ弁護士法・労働組合法で認められている権利ですので、会社は交渉に応じる義務があり、交渉を拒否することはできません。
一方、民間企業は依頼者の代わりとなる権利を持っていませんので、会社側はやりとりを断ることができます。
民間企業の退職代行は、伝書鳩のように依頼者と会社との間で通知や伝言しかできませんので、やりとりを会社側から拒否されると退職代行による退職は失敗してしまいます。
例えば、コンプライアンスを重視している会社などでは「依頼者の代わりになれず交渉権限がない」という理由、逆にブラック企業では「退職者へ嫌がらせをする」為に、民間企業の退職代行とのやりとりを拒否してくる場合があります。
弁護士や労働組合の退職失敗率はほぼ0%であるのに対して、民間企業の退職代行の退職失敗率は5〜10%と言われており、会社の対応次第で退職できない可能性があることは押さえておく必要があります。
退職できないとどうなる?
民間企業の退職代行を利用した場合、退職に失敗することがありますが、では、退職ができない場合はどうなってしまうのでしょうか?
会社側が民間企業の退職代行とのやりとりを拒否し退職できない状態(退職確定に失敗)となった場合は、依頼者本人が書面や電話で会社とやり取りをして退職を確定することになり、一般的には依頼者本人が退職届とあわせて「要望書」などの書面を記載して会社へ郵送することになります。
正社員など期間の定めのない雇用契約の場合は、法律により退職届が会社へ届いてから二週間後に退職が成立することになりますが、退職までの間は会社に所属することになりますので、会社から連絡があれば対応する必要があります。対応しない場合は、有給休暇を消化しての退職は難しいだけでなく、無断欠勤扱いとなってペナルティを負う可能性もあります。
また給与の支給についても、会社が手渡しでの支給を主張してきた場合は交渉の余地はなく拒否できない為、会社へ出向いて給料を受け取る必要があります。
まとめ
弁護士や労働組合が運営する退職代行を利用する場合は退職に失敗することはありませんが、民間企業運営の退職代行を利用した場合は会社側が対応を拒否すると退職に失敗(退職失敗率は5〜10%程度)してしまいます。
退職できない場合は依頼者が直接書面や電話で会社とやり取りをすることになり、有給休暇の取得や給与の支給にも影響することもあります。
退職はやり直しがきかないことを考えると、退職できないという事態にならないよう民間企業の退職代行ではなく、弁護士または労働組合が運営している退職代行へ依頼するのが良いでしょう。
民間企業の退職代行の見分け方
退職ができない可能性がある「民間企業の退職代行」ですが、見分け方は2つあります。
- ホームページの「運営者情報」または「特定商取引法に基づく表記」のページを確認する
- 料金振込先の銀行口座の名義を確認する
ホームページの「運営者情報」や「特定商取引法に基づく表記」に弁護士名(弁護士法人名)や労働組合名が記載されていない場合、料金振込先の銀行口座の名義が弁護士名(弁護士法人名)や労働組合名になっていない場合は「民間企業の退職代行」となりますので、必ず確認した上で依頼するようにしましょう。


