転職などで会社を退職する場合、その会社で入っていた健康保険も脱退することになります。そのため会社を退職したらすぐに「退職後の健康保険をどうするのか」を考える必要があります。
そこで「退職後の健康保険について4つの選択と選び方」についてご紹介してみたいと思います。
退職後の健康保険の種類と選ぶ方
退職後の健康保険について触れる前に、まず最初に日本の公的医療保険について簡単に確認しておきましょう。
健康保険(公的医療保険)の種類
我が国では「国民皆保険制度」を採用している為、国民は生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで、以下の表にある公的な医療保険へ必ず加入しなければなりません。
| 制度 | 被保険者 | 保険者 | |
|---|---|---|---|
| 健康保険 (社会保険) |
一般 | 健康保険の適用事業所で働く会社員(民間会社の勤労者) | 全国健康保険協会 (協会けんぽ) |
| 健康保険組合 | |||
| 法第3条第2項の規定による被保険者 | 健康保険の適用事業者に臨時に使用される人や季節的事業に従事する人等 (一定期間を超えて使用される人を除く) |
全国健康保険協会 (協会けんぽ) |
|
| 船員保険 (疫病部門) |
船員として船舶所有者に使用される人 | 全国健康保険協会 (協会けんぽ) |
|
| 共済組合 (短期給付) |
国家公務員・地方公務員・私学の教職員 | 各種共済組合 | |
| 国民健康保険 | 健康保険・船員保険・共済組合等に加入している勤労者以外の一般住民 | 市区町村 | |
| 国民健康保険 | 厚生年金保険など被用者年金に一定期間加入し、老齢年金給付を受けている65歳未満等の人 | 市区町村 | |
| 後期高齢者 医療制度 |
75歳以上の方および65〜74歳で一定の障害の状態にあることにつき後期高齢者医療広域連合の認定を受けた人 | 後期高齢者医療広域連合 | |
通常、会社や役所へ勤めている方は、健康保険として協会けんぽなどの健康保険組合 または 共済組合に加入していますが、退職に伴い、加入していた健康保険から脱退することになりますので、新しい健康保険に加入し直す必要があります。
退職後の健康保険「4つの選択肢」
では次に、退職後の加入しなければならない健康保険の選択肢を4つご紹介してみましょう。
- 国民健康保険への切り替え
- 退職した会社の健康保険を任意継続
- 家族の健康保険の被扶養者になる
- 転職先の健康保険に切り替え
1. 国民健康保険への切り替え
会社を辞めてすぐに次の会社へ就職しない場合、一番多いのが国民健康保険に加入するケースです。
国民健康保険の特徴
| 加入先 |
|
|---|---|
| 保険料 |
|
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向く人 |
|
国民健康保険は前年の所得が高ければ高いほど保険料が上がり、「扶養家族」という概念がありません。
退職前に加入していた会社の健康保険の場合、例えば夫(世帯主)・妻・未成年の子供2人という家族においては、健康保険には夫だけが入ればよく、妻と子供は夫の健康保険の被扶養者になることができます。
しかし国民健康保険の場合は、家族全員がそれぞれに国民健康保険に加入する必要があります。未成年も未就学児も同じです。
そして保険料の請求は世帯ごとになるので、先の例であれば世帯主の夫に世帯全員分の国民健康保険料が請求されることになります。扶養家族が多い場合は保険料負担は重くなるので注意が必要です。
退職後に国民健康保険へ切り替える方法
国民健康保険に切り替える際は、マイナンバーカードと本人確認書類、退職した会社から発行される「健康保険(社会保険)資格喪失証明書」を持参して、住んでいる市区町村役場の国民健康保険窓口で手続きを行います。
2. 退職した会社の健康保険を任意継続
「任意継続」とは、勤めていた会社で加入していた健康保険にそのまま加入を継続する方法です(75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となるので継続不可)。
任意継続の特徴
| 加入先 |
|
|---|---|
| 保険料 |
|
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向く人 |
|
これまで利用してきた健康保険を任意継続する場合は「退職した前日までに被保険者期間が継続して2か月以上あること」という条件があり、最長で「2年間」任意継続が可能です。
一般的には所得が高い人ほど国民健康保険を選ぶより任意継続を選んだ方が保険料が安くなる傾向があります。
3. 家族の健康保険の被扶養者になる
家族の中に主として生計を維持している健康保険の被保険者(3親等内の親族)がいる場合、その家族の「被扶養者」になる、という選択肢もあります。
ただし被扶養者になるには、同居・家計同一が基本で、日本国内に住民票があり、年収見込みが130万円未満(60歳以上や障害者は180万円未満、19-23歳未満は150万円未満)で、被保険者の収入の半分未満であること
という条件に該当する必要があります。なお、ここで言う年収は「過去の年収」ではなく、あくまでも「これからの見込み年収」です。
例えば6月から扶養に入るとして、1月から5月までの収入の合計が300万円あったとしても、6月以降1年間の年収見込みが130万円未満(月額10万8,333円以下)ならOK、ということになります。
被扶養者になる場合の特徴
| 加入先 |
|
|---|---|
| 保険料 |
|
| メリット |
|
| デメリット |
|
| 向く人 |
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4. 転職先の健康保険に切り替え
空白期間がなく退職日翌日から新しい会社へ転職する場合は、転職先の健康保険に切り替わります。
個人での手続きとしては転職先で求められた書類に記入すれば、あとの手続きは会社が行ってくれます。
なお、転職に伴って空白期間がある場合は、空白期間で 1.〜3. の健康保険の切り替え手続きをした後に転職先の健康保険に切り替えることになります。
空白期間が短いようであれば、前職の健康保険を任意継続するのが良いでしょう。
まとめ
以上、退職後の健康保険について「4つの選択」と選び方についてご紹介しました。
我が国では「国民皆保険制度」を採用しているため、退職後に必ず公的医療保険(健康保険)に加入が必要です。
退職後に加入すべき健康保険の選択肢は以下の4つとなりますが、
- 国民健康保険への切り替え
- 退職した会社の健康保険を任意継続
- 家族の健康保険の被扶養者になる
- 転職先の健康保険に切り替え
退職に伴って、どの健康保険へ切り替えるべきかは一概にいえません。前年の収入・扶養家族の有無や人数、再就職の可能性や時期などによって大きく変わります。
どれを選択するかで年間十万円単位の差が生じますので、しっかりと考えて選択をするようにしましょう。

