退職を引き止める上司の本音3パターン【元総務部長が解説】

退職・退職代行

退職を申し出たとき、上司に引き止められた経験はありませんか?

「もう少し考えてみては」「今は困る」「給料を上げるから」上司がこう言うとき、その言葉の裏に何があるのかを知っている人は少ないはず。

総務部長として11年間の退職案件を担当してきた経験から、引き止める側の本音を3つのパターンに分けて、ありのままにお伝えします。

上司や会社からの引き止めに直面している方は、ぜひ最後までご一読ください。

【本記事は労働組合 私のユニオンの監修です】

「引き止め」は会社の権利ではない

最初に、大切なことを伝えます。

退職の引き止めは、法律上認められた「会社の権利」ではありません

退職は労働者の権利で、例えば正社員など無期雇用の人であれば、法律により退職の申し出から2週間で退職が成立します。

会社が引き止めようとすること自体は違法ではありませんが、退職者がそれに従う義務はありません。

にもかかわらず、引き止めに応じてしまう退職者が多いのはなぜでしょう。それは「引き止める言葉の意味」がわからないからだと感じています。

「今は困る」「あなたが必要だ」「雇用条件を改善する」といった“言葉”が誰の利益のために発せられているかを知れば、対応は変わります。

では、引き止めの3つのパターンとその本音を解説します。

パターン1:「自分の評価が下がる」型

上司の発言例

  • もう少し考え直してみては?
  • 今は難しいから、せめて〇月頃まで待ってほしい
  • 突然すぎて、上に説明しにくい

こういった発言がある場合の「上司の本音」を見てみましょう。

上司の本音

このパターンの上司が最も気にしているのは「上司自身の人事評価」です。

部下が退職すると、上司は「マネジメント能力がない」「部下を追い詰めた」と評価されるリスクがあります。特に退職者が続いている部署の上司は、より強くそのプレッシャーを感じています。

特に「突然すぎて上に説明できない」という言葉は、退職者への配慮ではなく、自分の立場を守るための言葉でしかありません。

このパターンの見分け方

「もう少し待ってほしい」「せめて〇月まで」という時間軸の話が中心になるのが、このパターンの特徴です。あなた自身のキャリアや状況への言及はほとんどなく「会社の都合」や「上司自身の都合」だけで話が進みます。

編集長より(引き止める側の本音)

元総務部長の立場として正直に言うと、このパターンが最も多いように思います。上司が引き止めを行うとき、その背景には「自分が困る」という感情が少なくありません。「あなたのために言っている」という言葉が出てくることもありますが、多くの場合は自分の評価・立場が主な動機。このタイプの引き止めに気持ちを動かされる必要はありません。

パターン2:「業務が回らなくなる」型

上司の発言例

  • 今辞められると困る。引き継ぎができていない
  • ◯◯さんがいなくなると、チームが崩壊する
  • 残された社員に迷惑がかかる
  • せめて後任が決まってからにして欲しい

上司の本音

このパターンは「組織の問題を退職者に押しつけている」という点が特徴です。

誰か一人が辞めたら業務が回らなくなる組織は、そもそも人員配置や業務設計に問題があります。そういった問題を解決するのは会社の責任であり、退職者の責任ではありません。

特に「残された社員への迷惑」という言葉は、退職者の罪悪感を刺激するために使われます。仲の良い職場ほど、心に刺さりやすい言葉ので注意しましょう。

このパターンの見分け方

「引き継ぎ」「後任」「チーム」「残された社員」という言葉が頻繁に出てくるのがこのパターンの特徴。あなた自身の話ではなく、組織・チームの話に終始します。

編集長より(引き止める側の本音)

「後任が決まってから」という言葉は、総務側もよく使う引き止めのフレーズでした。

退職者に在籍してもらいながら採用活動を進めることを「当然の権利」のように思っている会社も少なくなく、後任の採用は退職者が辞めた後でも進められます。あなたが退職を待たなければいけない義務はありません。

パターン3:「本当に心配している」型

上司の発言例

  • 今辞めて家庭は大丈夫なのか?
  • 転職先は本当に大丈夫なのか?
  • 今の状況でいきなり辞めるのはリスクが高い
  • もう少し経験を積んでから動いた方がいい

上司の本音

このパターンは、前の2つと異なり「あなた自身への関心」が動機になっている場合があります。長く一緒に働いた上司が、純粋にキャリアを心配して言うケースも確かに存在します。

ただし「心配」と「引き止め」が混在していることには注意が必要です。

「転職先は大丈夫か」という言葉が、退職者のことを思って言われているのか、会社(上司)にとってから都合が良いから言われているのかについて見極める必要があります。

このパターンの見分け方

見分けるポイントは「あなたが辞めた後の話」ができるかどうかです。

本当に心配している上司は「辞めた後にどうするか」を一緒に考えてくれます。引き止めが目的の人は「辞めないほうがいい理由」しか話しません。

編集長より(引き止める側の本音)

このパターンは、3つのパターンの中で最も複雑です。本当に退職者のことを心配して言っている上司も、私の経験上、一定数いました。一方で「心配している風」に装いながら、実際は引き止めたいだけというケースが多いのも事実です。

このパターンは、話の内容を少し聞いてみる価値がありますが、聞いた結果として「退職の意思が変わった」場合のみ対話を続けてください。退職の意思が変わらないのであれば「ご心配いただきありがとうございます。でも退職の意思は変わりません」と伝えて構いません。

パターン別・引き止めの断り方

パターン 上司の本音 効果的な返し方
パターン1
自分の評価型
自分の立場を守りたい 「退職の意思は変わりませんので、手続きを進めさせてください」と繰り返す
パターン2
業務回らない型
組織の問題を退職者に押しつけたい 「引き継ぎには最大限協力します。退職日は〇月〇日のままでお願いします」と退職日を動かさない
パターン3
心配している型
あなたを心配している(場合もある) 話を聞いた上で「ご心配いただきありがとうございます。でも退職の意思は変わりません」と伝える

どのパターンにも共通する鉄則

引き止めに対する返し方で最も重要なのは「退職の意思は変わりません」という言葉を一貫して繰り返すことです。

引き止めに対して「少し考えます」「検討してみます」と答えた瞬間、上司は「まだ可能性がある」と判断し、引き止めがさらに強化されます。

また、退職にあたっては理由を詳しく説明する必要はありません

理由を話せば話すほど、「それなら解決できる」という交渉材料を与えるだけ。「一身上の都合です」「退職の意思は変わりません」この2文を繰り返すだけで十分です。

それでも引き止めがしつこい場合は

引き止めが繰り返される・脅しに近い言葉が出てくる・退職届を受け取ってもらえないという状況は、違法な引き止めになります。

そんな場合は、一人で抱え込まずに専門機関を頼るのも解決方法の一つです。

当サイトで監修をお願いしている「合同労働組合 私のユニオン」では、退職代行など退職に関する労働問題の無料相談を受け付けていますので、相談してみることをおすすめします。

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まとめ:退職の引き止めは応じる必要なし

退職を引き止める上司の本音は、大きく3つのパターンに分かれます。

    引き止めの本音 3パターン
  1. パターン1(自分の評価型):
    上司自身の立場・評価を守るために引き止める。あなたへの配慮ではない。
  2. ターン2(業務回らない型):
    組織の問題をあなたに押しつけている。会社の問題はあなたの責任ではない。
  3. パターン3(心配している型):
    あなたへの関心が動機の場合もある。ただし「辞めた後の話」ができるかどうかで本音を見分ける。

どのパターンであっても、退職の意思が固まっているなら、その意思を変える必要はありません。

退職は法律で認められた働く人の権利です。引き止めに応じる義務はないので、自信を持って断るようにしましょう。

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記事の著者情報

まいサポ編集長

総務部長として11年間にわたり退職手続き・休職対応・就業規則の設計などを実務で担当。制度を作る側・処理する側にいた経験をもとに、働く人にとって本当に役立つ情報を執筆しています

この記事の監修について
監修
合同労働組合 私のユニオン
労働問題の専門家集団として記事内容の正確性・適法性を確認しています
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