「もう限界かもしれない」と感じながらも、休む踏ん切りがつかずに働き続けている方は少なくありません。
総務部長として11年間、休職や退職に携わってきた経験から「3段階の仕事の限界サイン」そして、限界を感じたとき「最初にすべき具体的な一手」などについてお伝えします。
限界を超える日はある日突然きます。限界を感じた人だけでなく、最近辛いけど「まだ頑張れる」と思っている方も、ぜひ最後までご一読ください。
仕事の限界サインは3段階
総務部長として限界を超えてしまった方を何人も見てきましたが、ほとんどの人は「もう少し頑張れば大丈夫」と思い続けていました。
限界は突然訪れるのではなく、段階を経て近づいてきます。まずは、自分がどの段階にいるかを確認しておきましょう。
- 週末に休んでも疲れが取れない
- 以前はやりがいを感じていた仕事が億劫に感じる
- 職場に行くのが憂鬱で、日曜夜が特につらい
- 小さなことでイライラしやすくなった
- 仕事のミスが増えた
段階A:黄色信号
(休息で回復できる段階)
この段階は有給休暇を取って数日休むだけで回復できることが多いです。「まだ大丈夫」と思いやすい段階ですが、ここで対処できるかどうかが大きな分かれ目になります。
- 朝、起き上がれない・体が動かない日がある
- 理由もなく涙が出る
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- 眠れない、または眠りすぎてしまう
- 「消えてしまいたい」という気持ちが頭をよぎる時がある
段階B:オレンジ信号
(医師への相談が必要な段階)
この段階になっている方は、まず心療内科・精神科への受診を検討してください。医師から療養が必要と言われた場合は、休職手続きに必要となる診断書を取得しておきましょう。
総務部長として見てきた中で、段階Bまで進んでから相談に来る方がほとんどでした。段階Aで「少し休みたい」と言えた人は回復が早いのに対して、段階Bで辛抱を重ねた人は復帰まで期間を要する傾向があります。段階Bのサインが複数当てはまる場合は、すぐに医療機関へ予約を入れることをおすすめします。
- 出勤できない・会社に近づけない
- 日常生活(食事・入浴・着替え)がままならない
- 死にたい・消えたいという気持ちが強くなっている
段階C:赤信号
(すぐに休む必要がある段階)
段階Cに該当する場合は、今すぐ仕事から離れることが最優先です。まずは自分の安全を確保することが先決。会社へしばらく休む連絡を入れて休養に入ってください。
その後、心療内科・精神科の受診となりますが、最寄りの病院が混み合っている場合は、オンライン診療の受診も検討しましょう。
一人で抱えこまず、今すぐ「よりそいホットライン」(0120-279-338、24時間対応)または、かかりつけの医療機関に連絡してください。
限界サインを無視し続けるとどうなる?
「もう少し頑張れば大丈夫」と思って限界サインを無視し続けた場合に起きたことを、過去見てきた経験からお伝えします。
回復に時間がかかる
段階Aで休めば数日〜数週間で回復できる場合でも、段階Bまで進むと数ヶ月、段階Cまで進むと1年以上の療養が必要になることもあります。早く休むほど、回復が早い傾向がありますので、できるだけ早く「限界サイン」に気づくことが重要です。
突然動けなくなる
限界を超えた方の中には「ある朝突然、体が動かなくなった」人もいます。前日まで普通に働いていたのに、翌朝起き上がれなくなってしまう。このような状態になってから初めて「限界だったのか」と気づくケースもあります。
手続きが困難になる
段階Bや段階Cまで進んだ状態で休職の手続きを進めるのは、心身ともに大きな負担になります。診療予約や診断書の取得、会社への休職連絡、休職手続き、傷病手当金の申請…。
こういった手続きを消耗しきった状態でこなすのは想像以上に難しいので、まだ余力のある内に行動するようにしましょう。
限界を感じたら最初にすべきこと
「限界かもしれない」と感じたとき、最初にすべきことを段階別に整理します。
| 段階 | 最初にすること | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 段階A (黄色) |
有給を1〜2日取る | 数日〜1週間 |
| 段階B (オレンジ) |
心療内科・精神科を受診 | 数週間〜数か月 |
| 段階C (赤) |
今日仕事を休む | 医師の指示に従う |
段階Aの場合:まず有給を取る
有給休暇を2〜3日取って、完全に仕事から離れましょう。もし有給がない場合は欠勤申請をしてください。休んでいる間はスマートフォンの通知もオフに。
「有給を取る理由が見つからない」と感じる人もいますが、理由なんて不要。有給休暇は理由を問わず取得できる権利です。
2〜3日休んでも回復しない・段階Bのサインが出てきたと感じたら、次のステップに進んでください。
段階Bの場合:心療内科・精神科を受診する
「心療内科に行くほどではないかもしれない」と思う人も多いですが、段階Bのサインが複数当てはまる場合は心療内科・精神科の受診をおすすめします。
受診時には「仕事が限界で、休職を検討しています」と医師に伝えるだけで大丈夫です。休職する場合、ほとんどのケースで会社へ診断書を提出しますが、診断書には「療養が必要なこと」および「療養期間」の記載が必要となります。
休職の切り出し方・診断書の取り方については、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
段階Cの場合:今すぐ仕事を休む
手続きよりも先に、まず仕事を休んでください。会社への連絡は電話一本で構いません。
「突然休んだら迷惑をかける」と思う方が多いですが、出勤できない状態で無理に出勤することのほうが、結果的に職場への影響が大きくなります。今日休む判断をしてください。
「休む・辞める・続ける」の判断基準
限界を感じたとき「休むべきか・辞めるべきか・続けるべきか」の判断は、状況によって異なります。総務の責任者として見てきた経験から、判断の基準を整理します。
「続ける」を選んで良い場合
- 段階Aで、有給を取れば回復できそうだと感じる
- 限界の原因が一時的なもの(繁忙期・特定のプロジェクト)で、近い将来解消される見込みである
- 職場環境は悪くなく、業務量や人間関係の問題ではない
「休む(休職)」を選ぶべき場合
- 段階Bのサインが複数出ている
- 今は限界だが、回復すれば今の職場に戻れる可能性がある
- 退職後の生活の見通しがまだ立っていない
「辞める(退職)」を検討すべき場合
- 休職・復職を繰り返すことが想像できる
- 原因が職場環境そのもの(ハラスメント・根本的な人間関係)で、改善の見込みがない
- 今の会社で働き続けることに意味を感じられない
休職か退職かの判断については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
休んだら収入はどうなる?
限界を感じながらも休めない理由の多くは「収入(お金)の不安」です。
大手企業などでは一定期間で休職中に給料が支給される制度がある場合もありますが、ほとんどの場合「ノーワーク・ノーペイ(働いていない場合、賃金は発生しない)」の原則に基づき、休職中は会社から給料が支払われません。
でも、一定の収入は確保できるセーフティネットがあります。それが「傷病手当金」です。
休職中は傷病手当金が受給できる
会社員が病気・メンタル不調で休職する場合、傷病手当金として標準報酬月額の約3分の2(給与の約67%)が最長1年6ヶ月支給される健康保険の制度が利用できます。
傷病手当金の申請方法・計算方法・注意点については、こちらの記事で詳しく解説しています。
「お金の心配で休めない」という人に、元総務部長として正直にお話しします。傷病手当金の制度を知らず限界を超えて働き続けた人は、回復に1年以上かかった場合もありました。一方、早期に休んで傷病手当金を受け取りながら回復を目指した人は、比較的短期間で復帰でき、経済的な損失も少なくなっていました。
まとめ:限界サインをチェック
「もう限界」と感じることは、甘えでも弱さでもありません。身体と心が「これ以上は無理だ」と発しているサインです。
そのサインを無視し続けると、回復に時間がかかるようになります。早く気づいて早く休むほど、早く回復できるということを押さえておきましょう。
- 段階A(黄色):今日有給の申請をしてください
- 段階B(オレンジ):今日心療内科の予約を入れてください
- 段階C(赤):今日仕事を休んでください
手続きのことは、その後で考えれば間に合います。まず自分の身体を守ることを最優先にしてください。
