ついに足を踏み入れる相場の世界。
この相場とは並々ならぬ因縁がありました。
父方の祖先、母方の祖先ともに
相場で資産を吹き飛ばしてきた
歴史があります。
特に父方はひどく、
狂った悪魔のようなバクチ性から
先祖代々の土地を１０分の１にまで減らしたり、
そういったイザコザから
最悪の兄弟仲であったと聞いています。
祖父からも、
「株だけは絶対にやるな。」
と小さい時から言われておりました。
その代々の因縁ともいうべき
相場の世界。
もしかするとその因縁を
一番色濃く受け継いだのが
自分なのかもしれない。
家族のみならず、
親戚すべて含めても
バクチや相場に手を出しているのは
自分ひとり。
一族でもっとも濃い
魔性の血を受け継いだ２７歳の男。
定期預金もすべて解約し、
有り金の百数十万をすべて証券口座に突っ込む。
そしていざ取引。
口座をひらいたと同時に
ドル円の買いを入れる。
何もわからないので、
とりあえず限度額一杯まで
買い注文を入れる。
フルレバレッジというやつらしい。
勉強もせず、
相場について何も知らない状態。
為替相場のレート変動。
あっという間に
利益は１万円を越えた。
１日の収入が大体１万円。
それがものの数秒で・・・
（普通の人が決して入ることの出来ない領域に・・・）
と思ったのもつかの間、
突如激しく為替レートが動き始める。
プラスだった数字は
一瞬でマイナスの赤字へ・・・
（いったい何が起こっているんだ？？？？？？）
完全にパニック。
しかし何も出来ない・・・・・
呆然としている間にも
マイナスが恐ろしい額に膨らんでいく。
（何がいったいどうなっているんだ・・・・・）
日々汗水垂らして
稼いできたお金がものすごいスピードで目減りしていく・・・
為替相場がどういった動きをするのか？
それを実際の痛みをもって知ることに。
たった何銭かの動きで
こんなにも恐ろしい値動きになるとは
想像だにしていませんでした。
赤字が増えたり減ったり・・・
レートの変動で下がりっぱなしではなく、
たまに値を戻すことに希望の光を見出す。
未知なる世界の恐怖の連続・・・
ただただ茫然とする中、
時間だけが過ぎていく。
気が遠くなるような時間。
今までこれほど時間を長く感じたことはなかった。
いつ終わるともわからない恐怖。
出来る事はただただ無力な祈りをささげることのみ・・・
